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2012年1月27日

警察庁交通局長 殿

 

平成23年10月25日付け通達
「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」
に対する意見書

クルマ社会を問い直す会
世話人代表 杉田正明

 

 私たちの会は、交通において生命の安全・健康の保持を最優先し、物理的に弱い立場にある歩行者次いで自転車の交通環境の整備を優先し、さらにクルマを利用できない交通弱者・移動制約者の交通・移動の可能性を保障するために公共交通を私的交通に優先させる交通社会の実現を求めて活動を続けております。
 さて表記通達につきまして、評価すべき内容を含んでいることを歓迎しつつも、不十分で改善すべき点があると考えまして、ここに意見書を提出させていただきます。

 今回の通達について私たちは以下の点を評価しております。
1.片側1車線道路において、自動車一方通行の規制を行って自転車道等を整備する方向を打ち出しておられること。
2.片側2車線以上の道路において、自動車等が通行する車線を減らすことによって自転車道等を整備する方向を打ち出しておられること。
3.パーキング・メーター等を撤去することにより、自転車道等を整備する方向を打ち出しておられること。
4.幅員3メートル未満の歩道における自歩可の交通規制を見直す方向を打ち出しておられること。  

 ただし、この通達は以下のような問題を内包しております。
a.今回の通達は、これらを実現していく手順や工程について全く触れておりません。自転車道等の整備がなされて初めて歩道から車道へ安心して移ることができると考える人が多数と考えられますが、このままでは自転車道等の整備がなされないまま自転車の車道走行が強いられる状況になりかねないこと。
b.自転車道等の整備ができない道路が多数に上る可能性があり、そうした道路での自転車走行の安全性は何ら向上しないこと。
c.自転車道等が整備されても、その路上への自動車の駐停車が予想され、自転車の車道側へのはみ出し走行が強いられ、その場面での危険性が残ること。
d.歩道を原則歩行者のものとしていくことには大賛成ですが、歩道の圧倒的多数は幅員3メートル未満であり、見直しにともない大半の歩道で(高齢者や児童を除き)自転車走行不可になるとみこまれ、一方、車道側での自転車走行環境が上記bやcの通りであるとすると、多数の自転車利用者が危険と隣り合わせで車道を走行することを強いられることになること。
e.自転車の走行ルールについて、自動車運転免許取得時の道路交通法の学習や、一部の小中学校での授業・講習を通じてしか学ぶ機会がなく、多くの国民にとって自発的に学習しない限り知る機会がない現状があります。自転車道等の整備や、幅員3メートル未満の歩道の自転車走行を禁止、その他新たな施策が実施されても、そうした施策と施策の基での走行ルールを国民・市民が知らないままになる恐れが大きいこと。

 そこで以下の施策を通達にあわせて同時に実施するよう提案いたします。
1.自転車道・自転車レーンの整備がなされていない道路においては、自転車走行の安全性を向上させるため、自動車の速度を20km/時以下に制限すること(片側に複数の車道レーンがある場合は左端のレーンについて)。
2.自転車道・自転車レーンの整備がなされている道路において、片側に複数の車道レーンがある場合は、自転車道・自転車レーンへの自動車の駐停車は全面的に禁止し、車道レーン内に駐停車する規則とすること。
3.自転車道・自転車レーンの整備がなされている道路において、片側に複数の車道レーンがない場合は、駐停車を認めている区間について自転車の車道側へのはみ出し走行時の安全性を高めるため、自動車の速度を20km/時以下に制限し、その表示を明確な形で行うこと。
4.自転車の走行ルールを国民に周知徹底させるために、数10分のテレビ番組と数分のスポットテレビ番組を作成し、毎年・毎月、定期的にNHKなどの放送局を使って放映すること(春・秋の全国交通安全運動の際には必ず)。この際に当然、新たな制限速度や駐停車ルールなどを含めて、自転車利用者のみならず自動車ドライバーへの周知も意図すること。

 自転車道・自転車レーンのない車道における自転車の走行を怖くないものにしていくのに、自動車の速度を20km/時以下に制限することで十分と考えているわけでは全くありません。自動車利用者による法令違反(速度制限違反、駐停車違反など)の排除や、自動車の無理な追い抜きや幅寄せなどの危険行為の禁止なども併せて進めて頂きたいと考えていますが、今回特にこの速度制限策を効果的な一つの施策と考えて提案する次第です。
 また補足ですが、車道において左端を自転車が走る場合、路肩に段差があるなど安全に走行しがたい状況が少なからず散見されます。安全な走行環境の整備につとめて頂くよう提案します。

 尚、警察庁の方針と、各県の警察、とくに警視庁の見解との間に差異が目立っており、国民の間の混乱に輪をかける可能性があります。行政各所の方針の摺り合わせに万全を期するようお願いいたします。

 以上



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