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 社会民主党からの回答
        最終更新日:2003.11.08



クルマ社会を問い直す会 代表様

社会民主党政策審議会



1.交通安全対策について

 あらゆる人の交通権の保障、すべての人が利用しやすい交通バリアフリーの実現、環境にやさしい交通、安全で快適な交通、地域生活交通の確保が社民党の交通政策の基本です。

 20世紀の行き過ぎた「クルマ社会」は、激増する交通事故、慢性化する交通渋滞、大気汚染・騒音等の交通公害といった社会的外部負経済をもたらすとともに、交通弱者の移動の権利を奪ってしまいました。さらに交通分野の規制緩和が追い打ちをかけ、憲法に保障された幸福追求権、居住・移転の自由、生存権に立脚する「移動の権利」が画餅と化しています。21世紀を人間優先の社会とするため、社民党は、誰もが、いつでも、どこからでも、どこへでも、安全、安心、平等、快適に移動できる権利としての、新しい人権「交通権」を保障することを交通政策の基本とし、そのためにも公共交通の充実が必要であると考えます。特に弱い立場にある人たち、高齢者・障害者・子どもの移動の自由を保障することが必要です。

 高齢社会に対応する交通システム、限られた資源、地球環境を守る交通が求められており、「クルマ社会」の行き過ぎを転換し、公共交通を基盤に置いた人と地球にやさしい総合交通体系の確立を目指します。



2.歩行者の安全確保について

 クルマ社会の進展は、急激な交通事故の増加を招き、死傷者の激増をもたらしました。まず歩行者と車が同じ道を通行することが事故の大きな要因の一つですから、歩車道の完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底します。またスクールゾーンの増設やコミュニティ道路の充実を図っていきます。交差点における歩行者優先の原則を徹底するとともに、「人にやさしい」視点で歩行者安全策を追求します。あわせて踏切の歩道設置や、踏切への点字ブロック設置を進めるなど、人にやさしい踏切にします。

 次に自転車事故や歩行者への傷害事故を防止するため、非常に遅れている自転車道の整備や自転車通行帯の充実を推進します。車対車の事故防止のためには、道路標識や信号機の改善を図るとともに、自動車構造のいっそうの向上を進めるため構造基準の強化を図ります。また、交通安全教育のいっそうの推進や、自動車教習の強化など運転者対策も充実させます。

 各省庁の連携を強化するとともに、自治体が独自に交通実態にあった交通安全行政を行なえるよう追求します。歩道の段差の解消、電柱の地中化、歩道橋や地下道への小型エレベーターの設置を推進します。



3.交差点の安全対策について

 歩車道の完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底し、スクールゾーンの増設やコミュニティ道路の充実を図っていきます。交差点における歩行者優先の原則を徹底するとともに、信号機の高度化を進めるなど「人にやさしい」視点で歩行者安全策を追求します。踏切の歩道設置や、踏切への点字ブロック設置を進めるなど、人にやさしい踏切にします。自転車事故や歩行者への傷害事故を防止するため、違法駐車の禁止の徹底、自転車道の整備、自転車通行帯の充実を推進していくとともに、交通安全教育のいっそうの充実や自動車教習の強化などの運転者対策を進めます。交通事故被害者のケアを充実するとともに、事故調書の早期開示を検討します。



4.公共交通の再生について

@生活バス・サービスの維持
 モータリゼーションの進展で危機に瀕しているバス事業に、無謀な規制緩和が追い討ちをかけ、特に過疎地では路線の廃止や休止が相次いでおり、地方部では、住民の便利な「足」がなくなってしまうのではないかという深刻な問題がすでに出てきています。しかし、環境問題、高齢化問題、地域活性化、地域コミュニティの復興といった21世紀の豊かな社会づくりに必要な課題の解決には、自治体ぐるみの生活交通の再生がなくてはならないと考えます。生活交通は、人の自由な移動を通じて、文化を伝え、コミュニケーションを保障し、地域社会の活性化を生み出す重要な役割を果たしており、単に交通の問題ではなく、広く社会的な視点からの新しい発想と手法で考え、地域活性化・過疎対策の基本に、生活交通の維持が位置づけられるべきです。「公共交通は赤字でも福祉など他の分野で便益を生む」というクロスセクターベネフィットの考え方で、地方の生活バス路線やコミュニティバス、福祉バスへの財政措置を強化するとともに、自治体、住民、バス会社の三位一体の連携プレーで生活交通の維持を図ります。将来的には、道路目的財源の総合交通財源化を行い、バスの維持・復権のための財源を国・自治体の責任できちんと手当てすることを目指します。

Aオムニバスタウン構想の推進
 バスの利便性向上、活性化を図るその利用を促進するため、魅力ある車両の導入や、バス停の高度化、バス専用レーンの拡充、情報案内システムや運行管理システムの整備を行いつつ、各省庁が連携してバスの多様な意義を十分に活かした街づくり(「オムニバスタウン構想」)を進めます。

B社会資本としての地方鉄道の維持
 規制緩和による地方鉄道の廃線計画が各地で浮上し、生活に密着した鉄道路線の維持が大きな問題となっています。地方鉄道を維持するため、「公共近距離輸送は生存配慮にかかわるので維持しなさい」というドイツの「地域における公共近距離旅客輸送に関する法律」にならい、「公共交通の根幹をなす鉄道を守る」立場に国・自治体の交通政策を転換させ、地域住民の生活路線であり、鉄道ネットワークをなす地方鉄道に対する補助制度を抜本的に見直すとともに、基盤保有と運行を分離する「上下分離」方式の活用を検討します。地域における公共交通の整備は、地域振興や雇用、市街地活性に効果があり、鉄道を地域住民の共同の社会資本と位置づけ、駅を拠点とした街づくり、アクセスや利便性の向上、駅周辺整備の推進や「ルーラルレイルウェイツーリズム」など、鉄道を核とした地域振興を進めます。
C路面電車の復権・再生
 人と環境にやさしい生活交通体系として、超低床車両を使用した新しい路面電車であるLRT(軽快電車)を強力に支援します。そのため、軌道・車両に対する税財政上の支援を拡充するとともに、軌道の専用化を進めます。また、歩行者専用のショッピングモールに公共交通を運行させた商業空間(トランジットモール)を広げ、街ににぎわいと魅力を取り戻し、「トランジットモデル都市」を目指します。

D地域交通委員会の設置・地域交通計画の策定
 バス、地方鉄道、路面電車等の地域の公共交通を守るため、「公共交通の確保および経営調整に関する特別措置法」(仮称)を制定するとともに、住民の移動の権利、自治体の交通政策に関する責務等を規定する「地域公共交通基本条例」(仮称)を制定します。また、国の持っている交通行政の権限を自治体に移譲し、地域交通に対する自治体の決定権を拡充することで、住民・利用者の声を交通政策に反映されるようになります。交通問題に関する自治体間の協力や広域連合制度の活用を進めます。生活交通維持のための「地域協議会」を地域の関係者が一体となって交通問題を考える場とするため、利用者、住民、交通労働者も参加するように働きかけます。地域のあるべき交通の姿を地域交通計画として策定します。将来的には「地域交通委員会」への発展を目指します。

E公共交通としてのタクシーの支援
 規制緩和政策によって需給アンバランスと、渋滞、運賃破壊、労働強化が進めんでおり、需給の適切なコントロールや働きやすい環境作りを求めます。タクシーの運転者資格制度の創設やタクシー適正化事業実施のための機関の設置を検討します。駅前タクシー乗り場やタクシーベイの整備を進めます。なお、高齢者・障害者等に対する福祉輸送の需要が増加していますが、道路運送法の例外適用が拡大し、安全輸送を担保する2種免許の取得さえいらないかのような状況が作られつつあります。NPOやボランティア等の福祉移送であっても、安全輸送のための法的基準や一定の規制は必要です。道路運送法上の事業許可、乗務員の第2種免許取得義務づけ、介護保険とのかかわについて安全面の確保を重視しつつ改善を求めることとし、福祉タクシー事業の推進とあわせて対応します。



5.大気汚染被害について

@交通需要マネジメントを推進し、自動車の都心部乗り入れ規制や台数割当制度、ロードプライシングを導入するなど、中心市街地の自動車の総量規制に踏み出すとともに、パーク・アンド・ライドなど自動車・自転車と生活交通の連携を進めます。不要なマイカーの利用を抑制するため、公共交通を利用しやすくするようにするとともに、カーシェアリングを検討します。違反駐車防止条例の制定を推進します。

Aクリーンな乗り物である自転車の活用を進めていくため、非常に遅れている自転車道や自転車通行帯、自転車駐輪場の整備を推進するとともに、サイクル・アンド・バスライドや生活に密着した循環型自転車活用制度(レンタサイクル)を広げます。

B物流の効率化、環境対策を推進するため、幹線物流における貨物鉄道輸送や内航船舶輸送の強化、各交通機関相互のアクセス向上、共同配送拠点の整備を進め、自動車輸送からの移転(モーダルシフト)を促進します。なお高速道路の無料化は、受益者負担のあり方からみて不公正であるだけでなく、温暖化対策や騒音・大気汚染対策、公共交通の利用促進といった交通政策に逆行するなどの問題があります。コンテナ貨物輸送力の増強など貨物鉄道に対する支援措置を強化します。

Cさらにハイブリッドバスや電気自動車、CNG車等低公害バスの導入を推進します。また条件に応じてバスのトロリー化を検討します。


6.道路建設計画について

 基礎的社会資本整備が不十分な地域以外は、自動車道路の建設は環境や必要性の観点から見直すべきです。尼崎、名古屋南部、東京の各公害訴訟において、国と公団はあいついで敗訴しました。とりわけ尼崎地裁は、ディーゼル車の総量規制に踏み込んだ判決を下し、名古屋地裁は、なんの対策もとろうとしない国の怠慢を厳しく指摘しています。排気ガスは大気を汚染して人の健康を蝕むばかりでなく、地球温暖化原因になっています。これらの判決をクルマ社会への警告だと受け止め、ディーゼル車の総量規制はもちろん、自動車総体の総量規制に踏み込むべきだと思います。


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