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 自民党からの回答
        最終更新日:2004.07.03

クルマ社会を問い直す会
代表 三田直水様

自民党にいただきましたご質問について
別添のとおり回答いたしますのでよろしくお願いいたします。

自由民主党 アンケート係


クルマ社会を問い直す会
        交通政策に関する質問書

1. 国民の移動する権利を保障し、環境的・社会的に持続可能な交通体系の構
築を求める交通基本法が昨年、民主党と社会民主党により共同提案されましたが、
この法案に対する貴党の考え、今後の対応をお聞かせください。

回答
 利用者ニーズに的確に対応した高い水準の交通サービスを国民に提供するため
には、基本的な交通インフラについては公的部門が効率的にその整備を図りつつ、
個々の交通サービスの提供については、地域の利用者ニーズを踏まえた民間事業
者等が創意工夫やその努力を最大限発揮して行うことが望ましいと考えており、
このため、わが党は規制緩和等に取り組んできているところです。
 「移動の権利を保障する」ということは、この枠組みを大きく転換し、公的部
門が交通サービスの水準について基本的に責任を負うこととなります。国民が国
に対しその権利を行使した場合、国は交通サービスを提供する責任を負うことと
なりますが、その実現のためには交通事業に対する国の関与権限の強化、財政支
出の増大や非効率化を招くなど、様々な問題点があります。こうした様々な問題
点を十分理解し、是認した上で、移動権を保障することについて国民のコンセン
サスが形成されていないと考えます。
 過疎地域における生活交通の維持、駅等交通施設のバリアフリー化、環境への
負荷の低減等については、個別の法律や予算補助をはじめとする各種支援スキー
ム等により既に総合的に取り組み、具体的に実践中であり、その充実を図ってい
くことが重要であると考えております。


2. 温暖化対策について、二酸化炭素排出量の削減が目標どおりに進まず、あ
らためて環境税という経済的対策の必要性がクローズアップされてきましたが、
環境税導入に対する貴党の考え、また導入しない場合には、その代案をお聞かせ
ください。

回答
 温暖化対策に関する税等の経済的手法については、地球温暖化対策推進大綱の
評価、見直しにも考慮しながら、国民経済産業全般に与える影響等を十分考慮し、
国民的議論を踏まえて、総合的に検討します。


 3. イギリスではどうと交通削減法という法律が制定され、目標を立てて道
路交通の削減を進めています。地球温暖化、道路建設による自然破壊、地方公共
交通機関の衰退、都市部の空洞化など、車社会の弊害としての諸問題を考慮する
と、日本でも自動車依存社会から脱却するために具体的目標を定めて努力するこ
とが必要な段階を迎えていると考えますが、貴党のお考えをお聞かせください。

回答
 交通体系は、各交通機関の競争と利用者の自由な選択により形成されることが
原則ですが、その整備にあたっては、各交通機関がその特性を活かし、十分な連
携を図るとともに、地球温暖化等の諸問題にも対応していくことが重要です。
 このため、自動車の低公害化・省エネルギー化、交通需要マネジメント、違法
駐車対策等の施策(ソフト)と各種基盤整備(ハード)を一体的に実施すること
により、公共交通機関の利用の促進、鉄道・海運へのモーダルシフトの推進、道
路交通渋滞対策等の推進を図るとともに、オムニバスタウンその他のバスのサー
ビス改善施策等を進めているところであります。
 さらに、数値目標については、地球温暖化対策推進大綱においては、【運輸部
門におけるエネルギー需要面のCO2排出削減:H22において自然体ケースと比較
して約4530万-CO2】 社会資本整備重点計画においては、【NO2の環境基準達
成率:64%(H14)→約8割(H19)】と具体的な数値目標を定め、施策を推進し
てまいります。


4. モーダルシフトは、総論としては推進されることとなっていますが、トラッ
ク輸送の方が環境や安全面での負荷が大きいにもかかわらずコスト面から選択さ
れるという状況が続いています。鉄道貨物が経費の面でも優位にたれるよう、財
政や税制上の措置を講じるべきであると考えますが、貴党の考えをお聞かせくだ
さい。

回答
 モーダルシフトの推進につきましては、長距離輸送の分野を中心に、鉄道への
転換を促進し、もって環境負荷軽減等の社会的課題に対応した物流体系を構築する
ことを主眼としております。このような目的を実現するため、JR貨物の自立的
経営を前提としつつ、長距離幹線コンテナ輸送の拡充など、モーダルシフトにつ
いての適切な支援を講じることとしております。
 具体的には、コンテナホームの整備(駅のE&S化)による荷役時間や列車所
要時間の短縮、列車の増発等の輸送力の増強、高性能機関車の導入等によって鉄
道貨物輸送のサービス水準を向上させ、荷主や利用運送事業者のニーズに応えて
いく必要があります。
 このため、財政上の支援措置の対象として、これまでに武蔵野線・京葉線貨物
走行対応化事業(平成10〜12年度)、門司貨物拠点整備事業(平成11〜1
3年度)が完成し、平成14年度からは、山陽線鉄道貨物輸送力増強事業(平成
18年度完成予定)を実施しております。
 また、税制上の支援措置として、旧国鉄からの承継資産に対する固定資産税等
の軽減(課税標準3/5)、高性能機関車・貨車に対する固定資産税の軽減(課
税標準5年間1/2)等を講じております。
 またソフト面におきましては、荷主や物流事業者等の関係者が共同して環境負
荷低減策に取り組む場合に、一定の効果が認められるものに対して支援をする、
「環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験」を行っており、平成16
年度の鉄道のモーダルシフトについて、現時点で9件認定されたところでありま
す。
 今後とも、鉄道貨物輸送の活性化が図られるよう、必要な諸施策を講じて参り
ます。


5. 羽田空港は再拡張により航空機の発着量が1・5倍になるとされています
が、温暖化ガスの排出量削減が緊急の課題とされる中、とりわけ温暖化効果の高
いとされる航空量を増やすことに為政者の誰も疑念を抱かずにいることは訝しい
といわねばなりません。これ以上の空港整備は中止し、高速鉄道を整備し、環境
への負荷の大きい航空輸送から鉄道への乗り換えを進めることが必要と思います
が、お考えをお聞かせください。

回答
 交通サービスは、各交通機関の輸送特性に応じて利用者が自由に選択すること
により提供されるのが原則であると考えております。
 海に囲まれた島国である我が国においては、航空は、その輸送特性により、国
際輸送分野、国内の中・長距離輸送分野を中心として、個人の旅行ニーズを満た
すほか、企業活動を支え、国民の生活水準の向上や我が国の経済発展に大きな役
割を果たすことから、今後とも増大する航空需要に対応し、羽田空港の再拡張等
の空港整備が必要であると考えます。
 なお、我が国の二酸化炭素総排出量のうち、航空輸送が占める割合は1%に満
たず(2001年度現在)、提供座席距離あたりの二酸化炭素排出量原単位につ
いても、燃料消費効率の改善された新型機への更新等により、1990年度に対
し2002年度現在において約12%の軽減が図られています。


6. 鉄道整備は新幹線や地下鉄の新規建設に偏り、地方鉄道や路面電車は独立
採算を求められるばかりで最低限の安全制の確保さえ難しい状況に追い込まれて
います。在来線への再投資を進める財政上の枠組みが必要であると思いますが、
貴党のお考えを聞かせてください。

回答
 地方鉄道や路面電車につきましては、事業経営者の様々な経営努力や地域の積
極的な支援を前提として路線の維持及び経営の安定化が図られることが望ましい
と考えております。
 また、安全の確保や経営の合理化、利用者利便の向上等の観点から、従来より
近代化補助等により、経営の厳しい地方中小鉄軌道事業者の設備整備等に対して
支援を行っております。
特に、地方鉄道の安全性の確保につきましては、平成12年と13年に発生した、
京福電気鉄道の列車衝突事故を契機として、平成14、15年度に行った鉄道施
設の緊急評価を踏まえ、16年度から5ヵ年間に限り、緊急に整備が必要なトン
ネル・橋梁の改修等に対して、補助率の嵩上げを行う等の拡充を図ったところで
あります。
 今後ともこれらの制度を活用し、自立的な経営を目指す事業経営者や地域の取
組みを支援して参りたいと考えております。


7. 自転車利用の推進は,総論として賛成されますが、現実には自転車の走行
空間の拡大は遅々として進んでいません。片側2車線以上ある道路では必ず1車
線を自転車(およびバス)の優先車線とする、片側3車線以上ある道路では必ず
1車線を自転車の専用車線とする、といった判断が必要と思われますが、お考え
をお聞かせください。

回答
 歩道・自転車道の整備については、毎年着実に整備を進めており、平成14年4
月で歩道等が設置された道路の延長は148,924kmとなっています。このうち自転
車が走行できる空間が確保された道路の延長は75,527kmとなっております。
 片側二車線以上もしくは三車線以上ある道路において、自転車優先車線あるい
は専用の車線とすることにつきましては、実際の自動車や自転車の交通状況等を
踏まえて判断されることになります


8. また、自転車利用促進のためには、自転車通勤者にたいする通勤手当の割
増や税制優遇などの政策が必要を思いますが、お考えをお聞かせください。

回答
 交通機関等の利用者だけでなく、自転車通勤者に対する通勤手当についても、
通勤距離に応じた非課税制度が設けられているところです。


9. 交通事故件数・死傷者数は、目標を立てて半減また半減とゼロを目指して
たゆまず努力していかなくてはならないものと考えますが、交通事故を減らすた
めの具体的手段として、どのような政策をお持ちですかお聞かせください。

回答
 交通の安全は,交通需要や交通の円滑性・快適性と密接な関連がありますので、
これらの視点に十分配慮するとともに,沿道の土地利用や道路利用の在り方も視
野に入れた取組をするほか,防災の観点にも適切な配慮を行うこととします。
 このような観点から,道路交通環境の整備,交通安全思想の普及徹底,安全運
転の確保,車両の安全性の確保,道路交通秩序の維持,救助・救急体制の整備,
損害賠償の適正化,交通安全に関する科学技術の振興等の各般の交通安全対策を
充実し,官民の連携を一層緊密にしつつ,総合的かつ計画的に推進します。


10. 事故時の映像や時速、ハンドルの動きなどを記録するドライブレコーダー
は事故の実証的な解明に極めて有効であり、危険な運転を抑止する効果も見込め
ることから、全ての自動車に搭載を義務付けるべきであると考えますが、お考え
をお聞かせください。

回答
 ドライブレコーダーは、事故時の映像などをデータとして記録できる装置とし
て開発されたものでありますが、ご指摘のような事故防止の効果があることから、
このような装置が今後、新たな車両安全対策を講じて行くうえで注目していくべ
き新技術と理解しています。
 しかしながら、依然として装置の信頼性や映像を公的に利用するための課題な
ど検討すべき点が残っていることから、全ての自動車に装着を義務付けることに
ついて、現時点では時期尚早であると考えます。
 なお、現在、タクシー業界において、運転者教育への活用や事故の責任の明確
化等の観点から一部の事業者が導入を開始しており、ドライブレコーダーの有効
性等について検証しつつ、今後の活用方策について十分検討してまいりたいと考
えています。



11. 子供の遊び場
 かつて路地や空地は子供の遊び場であり、子供の心身の発育、社会性の育成の
ために大切な場所でした。それが昨今は、路地は通り抜け道路となり、空地は駐
車場と化して、子供たちは駆逐されました。TVゲームを止めて外で遊ぼうにも、
その場所は見つけがたいのが現状で、近年の子供の基礎体力低下の原因となって
いると考えられ、戸外で遊ぶための場所を確保することは教育政策上も重要な課
題と思われます。路地での自動車の走行を制限し、路地を子供達に返還すること、
また空地を子供の遊び場として提供した場合には固定資産税を減免するといって
施策が必要と思われますが、お考えをお聞かせください。

回答
 交通事故死者数に占める歩行者と自転車利用者の割合は4割を超え、歩行中の
交通事故死者のうち子供の7割、高齢者の約6割が自宅近くで事故にあっていま
す。
 このため、交通事故の多発している住居系・商業系地区1,000箇所を「あ
んしん歩行エリア」に指定し、歩行者などの安全通行の確保に向けた施策を道路
管理者とともに推進することにより、地区内の交通事故の約2割の抑制を目指し
ます。
 また、子供の遊び場は、重要な空間・土地であり、それを提供していただける
施策を進めていきたいと考えます。但し、税制の減免などは、都市農地・林野
(環境施策)などとの整合性もあり、現在検討しているところです。



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